前置詞の主語がある!?
前置詞は、「名詞の前に置く」ということはみなさんご存知だと思います。前置詞とその後ろの名詞のまとまりを、前置詞句と呼んだりします。in the room
前置詞 ” in ”とその目的語 ” the room “をまとめて一つの前置詞句になりますね。 しかし、前置詞+目的語だけでは何を表しているか理解できません。一体、何が「部屋の中」なのでしょうか?the man in the room
このように、前置詞の前に ” the man ”がつくと、「部屋の中の男性」と具体的にイメージできるようになります。この ” the man “にあたるものを前置詞の主語と呼びます。見方を変えると、The man is in the room.
と、SVに近い関係性が見えてくると思います。これが分かれば、I threw the letter ( ) the fire.
このような場面で使うべき前置詞を掴みやすくなります。( )に入るべき前置詞の主語は ” the letter “です。The letter is ( ) the fire.
手紙は火の中にあるので、ここでも ” in “を使うと良いでしょう。つまり、正解はI threw the letter in the fire.(私は炎の中に手紙を投げ入れた。)
となります。前置詞のSV関係について理解いただけたでしょうか。前置詞の主語を捉えた上で、各前置詞のイメージを捉えて行きましょう! と、言いたいところですが、もう一つだけ注意点があります。前置詞の日本訳は万能ではない!?
よく、「” to ” は到達点を表すから ” 〜に ”と訳そう!」という声を聞きます。そうすると「 to = に 」という構図が生徒の頭に出来上がってしまい、以下のような問題でも、I go ( ) Tokyo. (東京に行く)
Please sit ( ) a chair.(イスに座ってください)
Tom arrived ( ) the shop.(トムは店に到着した)
「日本語に直すと全部 ”〜に” となるから、入れるべき前置詞は ”to” だ!」という安直な考えに至ってしまいます。当然、正解ではありません。I go to Tokyo. (東京に行く)
Please sit on a chair.(イスに座ってください)
Tom arrived at the shop.(トムは店に到着した)
が正解です。 単純な和訳を覚えるだけでは、前置詞を捉えたことになりません。しっかりとしたコアイメージを掴み、前置詞から広がる英語の世界を読み取れるようにしましょう。” to ”は”到達”を表す!
” to ” のコアイメージは『到達』です。
この矢印が対象にくっついている状態をしっかり掴んでください。
そこから派生して、- 到達
- 結合
- 結果
- 一致
- 対比・対立
①到達
Tom went to Tokyo. (私は東京に行った。)
これは、一番よく知られている ” to “の使い方ですね。”to”は到達を表すので、この文章からはトムは確実に東京に到達したことがわかります。I agree with you to some extent.(あなたの意見に、ある程度賛成です。)
少しイメージをふくらませると、範囲の限界なども表せます。例文でも、「ある程度の限界に達するところまでは」と考えて見てください。②結合
Attach your name tag to the bag. (かばんに名札をつけなさい。)
到達は、そのものにくっついている状態をさします。上の図解を確認して見てください。矢印がしっかりと●にくっついていますね。そこから生まれたのが結合の意味合いです。③結果
To my regret, I cannot accept your invitation.(残念なことに、あなたの招待には応じられません。)
到達をさらに強調し注目すると出てくるのが、この”結果”のイメージです。Japan won the game to my surprise.(日本が勝ったことに驚いた。)
「日本が勝ったことが結果として私の驚きに至った」が直訳です。 ここからさらに語順を入れ替えると、「驚いたことに」という訳が出てきます。To my surprise, Japan won the game .(驚いたことに、日本が勝った。)
④所属
Tom gave iPhone X to me. (トムはiPhoneXを私にくれた。)
I belong to MEDUCATE. (私はMEDUCATEに所属しています。)
もともと、「give A to B」のような形で「BにあたらえれたAは、Bのもの」という考えから、到達のくっついている部分にのみ注目し、所属のイメージが派生しました。⑤対比・対立
Tom objected to my plan. (トムは私の計画に反対した)
We sat face to face. (私たちは面と向かって座った)
The team won the match with 8 to 7. (チームは8対7で勝利した)
「到達」のイメージから発展して、「〜に対して・〜よりも」という意味が生まれました。到達に対する跳ね返り(=対立)だと捉えましょう。
to のイメージはしっかりつかむことができましたか? イメージを抑えた上で熟語を見てみると覚えやすいと思います。 少し長くなってしまったので、今回はここまでにしましょう。 次回は「for」について考えて見たいと思います。