記事執筆者

松本侑士

中央大学在学中から教育に携わり、新卒で大手塾に入社。教室長まで務め、生徒の将来と真摯に向き合い、驚異の合格実績を残した。2019年よりMEDUCATEの教務主任となり、理想の教育実現に向けて勇往邁進する。



昨今ますます人気が増し、それに伴い難易度も上がっている医学部受験。

年によって「文高理低」だの「文低理高」だの言われる受験界のムーブメントに、全く囚われることのないその存在は、まさしく社会全体における医師という職業の社会的、経済的安定性を図らずも示しているように思えます。

この将来を掛けた熾烈な「椅子取りゲーム」。

ここに近年、医学部以外の学部を卒業してから、社会人として仕事をしながら、再び医学部受験合格を目指すという、いわゆる「再受験組」の参戦が増加しています。

再受験生の動機や背景は多種多様です。

現役時に医学部に受からず、看護、薬学、歯学などに進んだものの、医の道を諦められなかった方。

社会に出てから、何がしかのきっかけで医の道を志した方。

文系の学生、教師・講師、サラリーマン、主婦、看護師、薬剤師、弁護士、会計士、フリーター、ありとあらゆる方々が、再受験を目指して奮闘しています。

ただいずれも「自分の経験を医の道で生かしたい」という信念を持っているという共通項が存在しているのは確かです。

それだけ医師という職業は魅力あるものであり、社会的意義が高く、ハイリスクを背負ってまで挑むべきリターンがあるということを物語っています。

ただ、「年齢的に考えて、医学部は無理なのでしょうか」

「医学部は年齢制限があるのでしょうか」

といったご相談が多く寄せられているように、やはり多くの方が「年齢」によって受験が不利になるのではないか、と考えているようです。

しかし結論から言うと、医学部受験において年齢によって不利な判定を受けることはありません。

実際に、40代のサラリーマンの方が仕事をしながら受験勉強し、2年かけて帝京大学医学部に合格、医師免許を取得したケースもあります。

他にも、20代後半の看護師の女性が医学部再受験を目指し、東海大学の医学部に合格したケースもありました。

平成30年度合格者選抜
受験者数 合格者数 合格率
男性 女性 男性 女性 男性 女性
合計 76,572 48,601 125,173 8,812 4,597 13,409 12% 9%
18歳以下 20,322 17,312 37,634 2,990 1,908 4,898 15% 11%
19歳 21,969 14,384 36,353 3,194 1,629 4,823 15% 11%
20歳 12,442 7,788 20,230 1,346 590 1,936 11% 8%
21歳 6,846 3,401 10,247 528 241 769 8% 7%
22歳以上 14,993 5,716 20,709 754 229 983 5% 4%

H.30.9.4文部科学省「医学部医学科の入学者選抜における公正確保等に係る緊急調査の結果報告について」より一部引用

上記の表にあるように、そもそも医学部は他学部と比べ、志願者の浪人生が占める割合は高く、毎年実に60%以上に及びます。

また、そのうち3浪以上が20%以上を占めています。※年度により多少の誤差があります。

合格者を見ても、浪人生が占める割合はおよそ60%ほどで、他学部と比べ物にならないほどに浪人比率が高い状況です。

一度大学を卒業する、または社会人になってから医学部を目指す方は、表における「うち22歳以上」に含まれるわけですが、割合で言えば少ないものの、合格者数を見ると毎年1,000人程度は合格がでており、3浪の合格者を上回っています。

ただ、合否判定が不利に働くことはないにしても、学習環境そのものが、現役生や浪人生に比べて不利であることは間違いありません。

毎日の学習に割ける時間はもちろん、多かれ少なかれ学習内容にブランクがあるため、受験にフルコミットしている現役生、浪人生を相手にするのは、困難を極めるでしょう。

加えて、医学部に受かったとして大学を出るまで2年間、さらに研修医の期間も考慮すると、臨床医になるのに8年要することになります。

仮に(かなり条件が整っていて)2年間勉強をして受かったとして、合計10年かけてもそこに辿り着きたいと思えるほどに、医師になりたいと本当に誓えるのか、今一度、自問自答してください。

高いマインドを持ちながらも、錯綜する情報に惑わされ、学習の本質を見失い、非効率な学習を続けた結果不合格になり、雨だれが石を穿つようにマインドが削られ、やがては医の道を断念してしまう…。

そうならないように、正しい情報を得て、正しく戦略を立て、一切の無駄を排除して学習し、合格を掴み取っていただきたい。

一歩踏み出すのはいつでも怖いものですが、踏み出そうと思った時に動かなければ、時間は無情にも過ぎていきます。

蛇の道は蛇、医の道は医師です。迷う前に相談を。

次回は再受験の方法について語ります。