評論と同じ!
え?何言ってるんですか?って思った人、小説と評論が同じなわけないじゃんと思った人、小説は登場人物の気持ちがわかればいいんでしょ?と思ってる人、要注意です。
もちろん、小説と評論は全く同じではありません。しかし、解く上で求められていることが同じなのです。
評論の解法ポイント②として、『解答の根拠を見つけよ』と述べましたが、この意識が小説においても重要なんです。本来、小説は読み手によって登場人物の心情の捉え方が変わるものです。しかし、センター試験という公平性が重要な試験に置いて、正解は①だけど、考え方によっては③でも可というような曖昧さは許されません。
つまり、誰が見ても正解が①とならなければいけません。では、何を根拠に正解を①とするのか?
それは、『本文にどのように書かれているか』の一点に尽きます。10行目に「◯○○」と書かれていて、12行目には「△△△」とあるので、ここでのAくんは「◯△な気持ち」と考えられるという風に考えなければなりません。この本文に根拠を求める考え方は、評論と全く同じです。
評論と比べて小説は平易な文章なので読みやすいがゆえに、なんとなく読み、なんとなく解いてしまいがちですが、必ず解答の根拠が隠されています。それを捉えることに注力してください。読み方の基本は評論と同じです。
しかし、小説を解くに当たって注意しなければならないことがもう一つあります。それは、、、
心情を捉えよ!
評論と小説の最大の違いは、ここにあります。詳しい心情の捉え方は次回お話する予定です。
では、最後に苦手な人が多い問1(語句の意味)の対策について。
慣用表現などが問われる問1ですが、重要なのは「辞書的な意味」です。つまり、知っているか知らないかで勝負がほぼ決まってしまう問題です。文脈推測も不可能ではありませんが、文脈だけを考えると意味が通るように思えるひっかけの選択肢にひっかかる可能性が非常に高いです。また、問1の問題になっていなくても、慣用表現が心情を表している場合も多いので語い力は読解において欠かせません。
そこで、普段から語い力を鍛えておく必要があります。語い問題が苦手だ!という人はまずは現代文の単語帳で重要表現を押さえましょう。オススメは桐原書店の「読解を深める現代文単語」です。この本には、評論用語と小説用語がセットで乗っているので非常に便利です。
具体的には、これからみなさんが過去問や問題集を解いていく中で知らない表現が出てきた場合には必ず調べましょう。それが問題になっていてもいなくても、知らない表現は調べましょう。調べるのは辞書でもスマホでも構いませんが、調べたものはノートなど必ず書き留めてください。調べただけではすぐに忘れしまいますよ。
それでは、次回心情の捉え方でお会いしましょう!
【著者プロフィール】 丸山 由朗 ( MEDUCATEエグゼクティブ講師 )
上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒
大学在学中にブラジルへ留学し、その間に南米大陸を一人旅で巡った経験を持つ。現在、国語/世界史講師として活躍しているが、ポルトガル語も堪能である。また古代中国に対する造詣も深い。