みなさん、ごきげんよう。数学講師の沖 元介です。

急に寒くなってきましたね。この間まで、半袖Tシャツ姿で授業をしていた私も、一気に衣替えをし、ジョブズのごとく黒いタートルネックを愛用しています(笑)

さて、今回は前回のコラムで少しだけ触れた、Rくんについて書きたいと思います。

 

名付けて、

《Rくんの事件簿》

(ノンフィクション)

 

ご縁のきっかけは、お母様が、医者であり、MEDUCATEの代表である細井の患者様です。余談ですが、病室が受験外来のようになることもしばしばあるようです・・・笑

やはり、世間のお母様は自分の体のことよりもお子様への関心が強いようです。

 

話を戻します。Rくんは小学6年生。過去に他塾に通塾の経験もありますが、あまりお気に召さなかったようで受験勉強は滞っていました。8月末にお問い合わせをいただき、その際のMEDUCATEへのご要望は、【優しくて、自分と向き合ってくれる先生】でした。

我々が用意した先生は、Rくんのリクエスト通り、優しくて親身な指導をしてくれる瀧澤先生です。(開成高校卒→東京医科歯科大学医学部医学科)

 

スタート当初から、2人の相性は抜群です。以前、細井のブログでも紹介がありました。

その時の記事はこちら→中学受験数学はどう伸ばす?

指導開始から、ちょうど1ヶ月が経った9月末、Rくんに事件が起こりました。MEDUCATEが行うチーム教育の1つ。監修プロ講師によるCheck授業です。Rくんの担当は、もちろん私、沖です(笑)

開始から、日々の課題のCheck、不明点の解消、今後の課題の確認、志望校の相談と、順調に進んでいきます。しかし、最後の最後に、お母様から、『どうも、なかなかモチベーションが上がってこないみたいで・・・』との発言が・・・・・・これを沖に言ったら最後です。

沖の勉強への考え方の根本は、

『自分ができるようになりたいと思っていなければ、成績を上げることなんかできない。』

『自分が、やればできると思わなければ、できるようになんてならない。』

 

ここから、沖とRくんの、男と男の戦いが始まります。

 

沖「Rくんは、受験がしたくないの?」

Rくん(以下、R)「受験はしたほうが、将来のためにも何かと良いと思っているよ。」

沖「でも、毎日の課題などに身が入らないんだよね?それは何故?」

R「なんでかなぁ。何かモチベーション的に・・・でも、明日から頑張るよ。」

沖「ううん。そうじゃなくて。誰もRくんに受験をしろ!なんて言ってないよ。」

沖「もう一度聞くけど、Rくんは受験したいの?それとも、したくないの?」

R「・・・・」

沖「Rくんはさ、今まで、●●がしたい。とか、▲▲がやりたいとか、自分から、言ったこと、ないでしょ?」

R「・・・・」

沖「自分で決めたことや、自分がやりたいと言ったことには、責任が生まれるからね。あとで、言い訳ができなくなるのが怖いんじゃないの?」

R「・・・・」

沖「今日は、Rくんの口から、『やりたい』か『やりたくない』どちらかを聞くまで帰らないからね。」

R「・・・・・・・・・・・・・・」

 

(お互い無言で、待つこと20分)

 

沖「さて、どうしたい?」

「・・・・・やりたいです。・・・・・・・受験やりたいです。」

 

(沖はこの時点で、涙をこらえていますが、さらに怖い鬼となります。)

沖「受験したいんだね。でもねRくん・・・Rくんが受験をするには、周りの人たちのサポートが不可欠なんだ。」

沖「受験がしたいのなら、それをお父様とお母様に自分の口で伝えるのが筋だと思うんだけど、わかるよね?」

R「・・・・」

沖「Rくんの周りにいる大人はね、お父様もお母様も、もちろん僕も、Rくんが頑張っている姿を見れば、自分たちのことを犠牲にしてでも応援してくれる人たちなんだよ。」

沖「Rくん、『受験がしたいです。お願いします。』と一言、お父様とお母様にお願いできるよね?」

R「・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

(全員無言で、待つこと30分)

 

 

沖「Rくん、どうしたいんだっけ? 僕は、自分のやりたいことをはっきりと宣言できる、そのために人に頭を下げてお願いすることができる格好良い男を応援したいな。」

R「・・・・・・・・・・・・・・」

R「・・・・・・・・・・・・・・・やりたいです。・・・・・・・お願いします。」

(深々と頭を下げ、Rくん号泣)

その後、沖が帰るまで30分近くRくんは泣き崩れていました。

 

沖には昔の自分と照らし合わせ、Rくんの気持ちが痛いほどにわかっていました。自分に自信がなくて、自分の口ではっきりと『●●したい!』と、言えないこと。どこか照れ臭く、親に、『ありがとう。ごめんなさい。お願いします。』など頭を下げることができなかいこと。

Rくんが、本当の意味で覚悟を固めるには、今の自分を超えてもらう他ありません。まさに荒療治ですが、形だけでもしっかりと自分の口と行動で示して欲しかった。かなり時間はかかりましたが、この出来事はRくんをまた一つ大きく成長させたに違いありません。

 

Rくんにとって、今、沖は怖い怖い鬼に見えていることでしょう。・・・まあ、時に鬼になることも必要かなぁと思っています。

真の教育者とは、後になってどれだけ思い出してもらえるか。5年後10年後に、「あの時、喝を入れてもらったなぁ。」と感謝の念を抱いてもらえるか。最近は、そんな気がしています。自分にとっての恩師である藤田先生は、年を重ねるごとに大きく、そして偉大な存在になっていくものです。そして、立場は違えど同じように、生徒に接している自分がいます。

一歩一歩、藤田先生に近づけるように、教育の道を極めていきたいなと思います。

18時半に授業をスタートし、沖がご家庭を後にした頃には、23時を回っていました。今年、最も気になる教え子の一人であることは、間違いありません。

以上、《Rくんの事件簿》でした。

最後まで、目を通していただき、ありがとうございました。

okigen

エグゼクティブプロ講師(数学)

沖 元介(OKI GENSUKE)

都内・千葉県を中心に様々な形で教育に携わっている。

<経営者として>

MEDUCATEの経営に加え、都内にカフェ型の塾(tree)をオープンし、常に新しい教育スタイルの創出に参画している。

<講師として>

2017年は、4つの高等学校と3つの予備校・塾で数学を指導し、教育者として理論や机上の空論ではない現場第一主義を貫く。

<大学院生として>

大学院大学にてMBA取得を目指す。『理想の教育とは何か?』を生徒目線で日々探求している。