【第1回】現役医師兼プロ講師から見る医学部受験 - 国立か私立か –
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こんにちは。現役医師兼プロ講師、マイナビ家庭教師医学部コース監修を務めるMEDUCATE代表者の細井龍と申します。
今回から、このコラムの連載を通じて、現役プロ講師として医学部受験最前線にいる目線、現役医師としての目線、双方から思うところをお伝えしてまいります。
○現在の医学部受験 ~定員数と倍率の変化~
昨今、医学部人気は健在で、定員を増やしても偏差値に大きな変化がないところを見ると、志望者も純増していることが考えられます。全医学部の一学年の総定員は約9,000人で、多いように感じますが、東大・京大の一学年は約6,000人ですので、そこまで多くはありません。
○「国公立」と「私立」の医学部の違い ~受験科目と学費~
また、受験においても「国公立」と「私立」では、受験科目などにも違い(差)があります。国公立はセンター試験(5教科7科目)が必須ですが、私立は必須ではなく、基本的には英数理科2科目の4科目、大学によっては英数理の3科目で受験できる大学もあります。加えて、6年間の学費についても、国立が330万円、私立が2,000万〜4,000万円ともいわれており、一般家庭にとって、私立は金銭的にも狭き門といえるでしょう。
ちなみに医者1人を育成するのに必要な金額は6年間で700万円程度と言われています。(医者1人を育成するのに3,000万〜1億円かかるなどというのは都市伝説です)国立の場合は、半分が税金で賄われ、私大の場合は、差額が付属病院、研究施設などの維持費に充填されています。
○「国公立」か「私立」の選択だけでなく、「首都圏」か「地方」の選択にも受験難易度が関わる
お得で家計に優しい国公立ですが、一般的に都会に近い国立大学の方が難易度が高く、田舎の大学の方が難易度が低い傾向があります。受験生としては、6年間の学生生活を都会でエンジョイしたいという気持ちと合格への不安感が相反します。冒険するか、確実性を取るか。見込みのある成績が出ていれば冒険する気にもなりますが、特に浪人生の場合は後がない不安から、確実な選択をするパターンが多い様に感じます。
私大の場合は、学費が安けければ安いほど、難易度が高い傾向にあります。世知辛い世の中ですよね。結局世の中、金か頭脳か、ということになります。そのせいか親が医者である二世医学生も非常に多く、高級外車に乗り、親のカードを自由に使う浮世離れした学生もいます。
国公立・私立のどちらを卒業しても医師免許を取得できることに変わりはありません。ある意味、国公立と私立の選択には、自分の頭脳と時間の按配を見ての投資になるとも言えるかもしれません。国公立を目指して3浪するよりは、1浪で私立に行く方が、生涯年収の観点から見ると特な可能性があります。医者になれば、平均1,500万円ほどの年収が得られますから、医師としての稼働年数が2年減るとマイナス3,000万円になり、私立の学費を払ったとしてもほぼ変わらないのではないか?ということです。
○自分にとってベストな選択を行うためにも、余裕を持って、効率的に、楽しんで勉強を
少し生々しい話もしましたが、改めて医学部受験を志す皆さんに考えて欲しいこと。皆さんも『医者になって人の役に立ちたい』という熱い想いを持って、医師を目指されていると思います。しかし、状況によってはあなたのその熱い想いとは異なる観点での選択を迫られることもあるかもしれません。できる限り、そのような選択をとることのないようにして欲しいと心から願っています。そのためにも、余裕を持った成績をとるために、日々効率的に、楽しんで受験勉強しましょう。受験相談があれば、いつでもご連絡してください。
第2回へ続く →
【第2回】現役医師兼プロ講師から見る医学部受験 -医学部に入学したら-
【著者プロフィール】
MEDUCATE代表/形成外科医/マイナビ家庭教師医学部受験コース監修責任者
細井龍
渋谷教育学園幕張高校−千葉大学医学部卒
千葉大学医学部在学中から医学部受験指導に携わり、他塾で全く結果の出なかった生徒を独自のメソッドを用いて医学部などの難関大に何十人と送り込んできたカリスマ講師。某大手個人指導塾で最高ランクのプロ講師を務めてきた。
授業内容の濃さには他の講師とは一線を画すものがあり、情熱的でかつ理論的、効率的な授業を行う。精神論や脳科学的勉強法にも造詣が深く、具体的な勉強だけでなく、学習内容をどう効率的に自分の使える知識に昇華させるかを伝えることに重きを置いている。
医業の忙しさもあり、直接持てる生徒の数が限られてきたため、MEDUCATEを設立し、後進の育成と指導メソッドのマネジメントに従事し、他塾では行えない最高の教育環境を作り上げることを目指している。
2016年春よりマイナビ家庭教師医学部受験コースの監修責任者を務める。