○ 医者の世界は治外法権?
医者の世界は非常に複雑な面が多く、真面目に医者をやる人の方があまり稼げず、一方で不真面目に医者をやる方が稼げてしまったりします。実際、自分の時間を患者のためにすべて捧げられるという医者は一部で、皆、家庭があったり、プライベートがあるわけで、仕事とプライベートの按配が大事になってくるわけです。 具体的に真面目に医者をやるというのは、内科・外科と言ったメジャー科に進み、大学病院やある程度大きな病院で常勤医として働いていくことです。反対に皮膚科、眼科、形成外科などマイナー科と言われる、そこまで忙しくない科に進み、開業医やアルバイト医としてやっていくのが後者です。 前者は、内科、外科など医療の主要な科なこともあり、命に関わる科がほとんどのため、休日であろうと担当患者が急変した場合は、病院に出向かなければなりません。ゆえに休日の確保が難しく、土日のアルバイトもあまりできません。また医者の世界というのは、労働基準法からは程遠い治外法権の世界ですので、残業や当直業務も多い割に、給料は芳しくない場合も多いです。 大抵、大学病院などは役職についてない人の場合は月20万程度、あるいは無給の場合もあり、週に1日バイトをする日をあてがってもらい、他の病院に行って外来や当直業務をすることで、生活費を稼ぎます。大学病院は雑用が多く、残業時間も多いため、中には、時給換算すると1千円を切っている人もいます。大学病院は症例数の面では魅力的で困難症例も多くやりがいには溢れているかもしれませんが、労働環境はあまり良くない職場と言えるでしょう。市中病院での勤務医の方が、待遇はいい場合がほとんどです。○ 医者のアルバイト事情
一方、医者アルバイトは相場で時給1万円前後です。専門的になればなるほど時給は上がっていきます。何科の先生でもできるバイトといえば、献血バイトや健診バイトですね。こういったものは採血や問診をただ機械的にこなすだけで、時給1万円程度発生します。また、AGA(男性型脱毛症)で悩む方の頭皮に注射を打つバイトもあります。これも10時〜19時の休憩1時間で日給が8万円といった相場です。大学病院で雑務に追われ、精神と体力を削って、働いても1か月で20万しかもらえないのに、3日間、適当に注射や問診をしているだけでも24万稼げてしまうのです。もちろん、やりがいはありません。 どちらも医師の仕事ですが、こんなにも違いがあるのですね。簡単に言うと、勤務医の収入はバイトの日数によって決まると言っても過言ではありません。やりがいを追い求めるのか。収入を追い求めるのか。バランス重視でいくのか。科の選択はライフスタイルに直結します。ただ興味があるからという理由で科を決められないのにはそういった裏事情があります。 第5回へ続く→【第5回】現役医師兼プロ講師から見る医学部受験 -生徒と親の関係性-<バックナンバー>