【医学部極意シリーズ】医学部合格者を輩出する高校における「普通」と「環境」

記事執筆者

松本侑士

中央大学在学中から教育に携わり、新卒で大手塾に入社。教室長まで務め、生徒の将来と真摯に向き合い、驚異の合格実績を残した。2019年よりMEDUCATEの教務主任となり、理想の教育実現に向けて勇往邁進する。

医学部合格者出身校の「普通」って何?

「大切なのは最終学歴だから、中学高校は関係ない。大学で逆転しちゃえばいいんだよ。」

とある塾関係者のセリフです。

これを聞いて、「ああなるほど、確かに。」となる人も少なくはないでしょう。

もちろん中学、高校のレベルは、個人の頑張り次第では関係がないでしょうし、逆に言えば、レベルの高い学校に通っていても個人の頑張りが伴わなければ無意味です。

しかしながら、この個人の「頑張り」とはどの程度のものでしょう。

例えば、偏差値55の学校における「頑張る」と、偏差値70の学校の「普通」は、果たしてどちらが上なのでしょう?

 

進学校の強さとは、一言でいえば「伝統」です。

ここでの「伝統」を平たく言えば、その学校で普通、標準とされているものを指します。例えば灘高校では、普通東京大学、京都大学に進学します(是非YouTubeで加藤先生の動画をご覧ください!)。

「そんなの普通じゃない!」と思う方がほとんど(私も例外ではありません)、だと思いますが、驚くことに、彼らからすればそれが「普通」なのです。

一方、偏差値50そこそこの学校からすれば、かなり頑張っても東大・京大合格は至難の業、むしろ目指そうとすら思わないかもしれません。

自己の普通のレベルをどこに置くのか、それは周囲の環境に大きく影響を受けます。

不思議なことに、傍目から見てどんなにレベルの高いことでも、いったんその状況に身を置いてしまえば、教師、友人、先輩、様々な影響を受け「これが普通なんだ」と思ってしまうのです。

伝統ある進学校が受験に強いのは、優秀な子が多いから、授業のレベルが高いからということも挙げられますが、それよりも大きな要因としてこの伝統があるからなのです。

 

こちらのブログをご覧の方の中には、小学生、中学生のお子様をお持ちの親御様、またはお子様ご本人もいらっしゃるでしょう。

中学、高校時代はとても多感な時期で、良くも悪くも周りの影響を受けやすいです。

自分がどうなりたいか、どう成長したいか、そのためにどのような環境で刺激を受け、影響されたいのかを考えて、慎重に中学・高校は選びましょう。

ここで、2014~2018年の5年間での医学部合格者数における、高校別ランキングを見てみましょう。

高校別医学部合格者ランキング

順位 高校名 所在地 過去5年間の合格者数
1 東海 愛知 572
2 ラ・サール 鹿児島 425
3 洛南 京都 417
4 兵庫 401
5 久留米大学附設 福岡 318
6 開成 東京 310
7 東大寺学園 奈良 307
8 愛光 愛媛 275
9 甲陽学園 兵庫 273
10 四天王寺 大阪 250

面白いことに、このランキングからも、周囲の環境が進路についてどう影響を与えるのかが見て取れます。

6位の開成高校(東京都・私立)を除けば、全て愛知県以西に位置する高校です。

中部、関西には医学部は設置された大学が首都圏よりも多く、医学部というものが首都圏よりも身近であることが、高校生の進路にも大きく影響していると考えられます。

中部では名古屋大学を筆頭に、名古屋市立大学、岐阜大学、三重大学、浜松医科大学、関西には京都大学、大阪大学、神戸大学、大阪医科大学、滋賀医科大学、奈良県立医科大学、和歌山県立医科大学と、首都圏よりも国公立の医学部が充実しています。

首都圏では東京大学、東京医科歯科大学、千葉大学、横浜市立大学、筑波大学などが挙げられますが、総じて国公立医学部の中でも入試難易度が高い大学が多く、その点も医学部志向が中部以西よりも低いことに繋がっているのかもしれません。

上位のランキングに入っている学校(特に中部以西)では、医学部に合格することが、いわば「普通」なのです。

一般的な偏差値の学校に通っている場合は、「医学部なんて無理」「今からじゃ間に合わない」なんて悩み諦めるところを、彼らは諦めるどころか、「まあ普通にやればいけるでしょ」と思っているのです。

自分のスタンダードをいかにして高く持っていけるか。

こればかりは環境が大きく左右する部分です。

受験とは、自らが身を置きたい環境を選べる機会です。

よく、「無理して上の学校に入っても、入ってからが大変だ」なんて言う人もいますが、それには私は反対です。

高いレベルの厳しい環境に身を置くことで、自らも影響を受け、自分の想像を遥かに超える成長をしてください。

普通なんて人それぞれ、だからこそより高みを目指しましょう。