○医学部に入学したら ~国公立編~
国立大学は1、2年では教養課程、3年生以降が専門課程という扱いになるので、総合国立大学の場合は、物理、数学、社会、第二外国語、体育などと言った、医学と関連性のない教養授業を1年間半ほど受けさせられます。下手をすると教養課程で留年なんてことも稀にあるので、授業は手を抜き、テスト対策だけする生徒も多いですね。授業選択など、同級生や先輩との情報共有も大事になってきます。大抵、医学部は総合大学の中でダントツ1位の学部であるので、教養の授業など舐めてかかってしまい身に入リません。他学部との合同授業で、医学部の生徒が一番うるさいなどと言われてしまうこともあります。 純粋に医学を学ぶのは3年生からになります。3年生は基礎医学になりますので、生理学、解剖学、病理学などといった人間の体の仕組みについてミクロのレベルで学びます。つまり医学部3年生以下に「喉が痛くて、赤く腫れているんだけど、どんな薬飲めばいいの?」と臨床的な質問をしたところで、まだ臨床医学について全く勉強していないので答えられません。もし答えられたら非常に志の高い学生さんです。なぜ、3年生まで医学の授業を本格的に開始しにくいかというと、3年次より学士編入の生徒が入ってくるのを待つ必要があるからだと聞いたことがあります。 このシステム、自分としては現在の医学教育の問題点だと思います。低学年の時に臨床医学に触れ合わなすぎて、医者になるモチベーションを一時忘れ去ってしまうのです。1、2年生の間は特に勉強する必要もないので、時間的余裕はあり、バイトや部活に励む姿がみられます。 そしてやっとこさ4年生で臨床医学について座学を学び、5年生から病院実習に出る。といった流れになります。普通にやっていれば、特に問題なく進級できますが、数年に一度、十数人が留年する大虐殺が起きたりします。基本は優秀な友人たちにひっついていれば留年することは避けられます。これは私立にも言えることですね。○医学部に入学したら ~私立編~
一方、私立大学では教養授業の割合は小さく、早くから医学を意識した授業が始まります。教養課程は1年生だけで、2年生から基礎医学が始まり、国立より半年から1年早くカリキュラムが進んでいきます。教養に時間を取られない分、医学にしっかり時間を割いている印象ですね。留年の割合は大学によりけりですが、基本的に下位レベルの私立医学部の方が授業の出席なども含めて厳しいです。全ての試験で口頭試問が課せられる大学もあります。また、試験を再試験になった場合、1科目につき3000〜5000円のお金がかかります。国立出身の人からすると驚くべき事実です。 特に私立大学の場合は、国家試験の合格率が翌年の受験者数に大きな影響を及ぼします。受験料は大学にとって超重要な収入源であるがゆえ、国家試験合格率の見かけを良くするために、卒業試験(国家試験の数ヶ月前に行われる)で、不穏な成績の生徒はふるいにかけられ落とされます。そうすると留年扱いになり、国家試験の受験資格が得られないため、学校としての国試合格率は表向き維持できます。中には流れ星(シューティングスター)と呼ばれ、留年を繰り返し、後輩たちに追い越されていく人もいます。学校としては、留年することで再度授業料を徴収できるため、おいしいのでしょうか? いや、そこは周りと同じ程度に勉強できなかった学生側が悪いとしか言えないですよね。○しっかりとした勉強法を
このように、医学部に入ってからも勉強に困ってしまう人は確かにいます。留年すれば300万〜500万がさらにかかってしまいます。医学部の勉強は受験勉強とは質が違う部分もありますが、科学的勉強法はいかなる勉強にも通じます。MEDUCATEでしっかりとした勉強法を身に付けておけば、医学部に入ってからの勉強も効率的にできることをお約束します。第3回へ続く →【第3回】現役医師兼プロ講師から見る医学部受験 -研修医の生活-
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→【第1回】現役医師兼プロ講師から見る医学部受験